**2001年度 政策制度要請文書**

  
  ○○市長(町長)

   ○○  ○○殿

2001年11月  日
日本労働組合総連合会埼玉県連合会
西部第三地域協議会
議長 武田 剛
埼玉県労働者福祉協議会 西部第三地域労福協
会長 武田 剛

貴職におかれましては、  市(町)民のため、日夜のご健闘をされていることに対し、深く敬意を表します。

また、日頃より、私ども日本労働組合総連合会埼玉県連合会(略称:連合埼玉)並びに、連合埼玉西部第三地域協議会(坂戸市・鶴ヶ島市・越生町・毛呂山町の2市2町地域 略称:西部第三地協)、また、埼玉県労働者福祉協議会(略称:埼玉労福協)並びに、埼玉労福協西部第三地域労福協(略称:西部第三労福協)に対し、深いご理解とご協力をいただいておりますことを、心から御礼申し上げます。

さて、私たち連合埼玉は「ゆとり・豊かさ・公正な社会」の実現を目指す取り組みとして、また、長期複合不況から脱しきれず、回復の兆しも見えない日本経済の現状と、失業率5%を超える、最悪の雇用情勢等を踏まえつつ、市(町)政への政策・制度改善要請項目を以下のようにまとめました。これは、生活者重視、まじめに働くものがむくわれる公正な社会の実現と、安心して暮らせる地域社会の確立に向けた要請であります。

以下の項目をご参照いただき、今後の市(町)政および平成14年度の予算編成に充分に反映されますよう要請いたします。

なお、本要請に対するご見解を平成14年2月末日までに、文書にてご回答いただきたく、お願い申し上げます。

行政システム

1. 住民参加の「地方分権推進委員会(仮称)」を新設し、分権社会の構築に向けた諸施策とアクションプログラムを策定するよう要請します。【継続要請】(坂戸市を除く)

(解説)市町村の繁栄を目的とした地方分権の推進には、県財政の逼迫、縦割り行政による弊害、国・県・市町村の管理体制(河川・道路など)、財源問題、自治体施設の赤字問題、自治体職員、議員の人材育成など、計画を推進する上で多くの課題を抱えていると認識しています。そこで、市町村独自の計画策定と実効ある分権社会の推進のため、学識経験者・商工団体・NPO・勤労者代表など、地域住民の各層で構成する「地方分権推進委員会(仮称)」を新設し、諸課題の解決に向けた施策とアクションプログラムを策定するよう要請します。

なお、本内容は昨年度も要請しましたが、貴自治体から頂きましたご回答は、要請内容に対して「回答不充分」と判断し、本年度も引き続いて要請をさせていただきます。参考といたしまして、昨年度、貴自治体より頂戴いたしましたご回答を以下に記載いたします。更なる前向きなご検討をお願いいたします。

2000年度ご回答:

2.住民参加による「施策評価システム」と構築するよう要請します。【継続要請】

(解説)埼玉県では、各部局による自己点検と外部有識者による評価・課題・対応方向が記載されている「施策評価システム」が導入はされ、県民から高く評価されています。今後は、各市町村でも同様の「施策システム」を構築することが求められます。また、「施策評価システム」の構築には、多くの住民による施策評価と住民要望を把握するアンケート、ヒヤリング、モニター制度等の導入をすることに加え、庁内の横断的な討議の場を通じて議論することが重要なプロセスとなると考えます。

なお、本内容は昨年度も要請しましたが、貴自治体から頂きましたご回答は、「評価システムの構築の検討」という面についてはご理解いただけたと評価しておりますが、要請にある「住民参加」という点に於いて「回答不充分」と判断し、本年度も引き続いて要請をさせていただきます。参考といたしまして、昨年度、貴自治体より頂戴いたしましたご回答を以下に記載いたします。更なる前向きなご検討をお願いいたします。

2000年度ご回答:

教育行政

1.「中学生社会体験チャレンジ事業」を拡充するため、地域住民の支援が得られるよう推進体制の見直しを図るよう要請します。【新規要請】

(解説)地域の中での様々な社会体験を通して、多くの人々とふれあい、学校では得られない経験を積むことで、豊かな感性や社会性、自立心を育むことをねらいとして、「中学生社会体験チャレンジ事業」の展開がされています。活動内容としては、職場体験活動・福祉体験活動があり、活動場所は学区内の事業所となっており、活動の評価としては、生徒自身からは「働くことや社会のルールの大切さを学ぶことができた」、また、学校からは「生徒の心の成長などがうかがわれる」、家庭と事業所からは「教育に対する理解が高まった」など、地域全体で子供たちを育てるという意識が向上するという効果が得られています。しかしながら、実際に体験の出来る事業所、施設は限られており、自治体が中心となった、地域住民、企業、団体の支援が得られるような推進体制の見直しが必要です。

2.勤労者代表を、教育委員や社会教育委員、学校評議委員などに推薦し、地域に開かれた住民参加の教育行政を推進するよう要請します。【継続要請】

(解説)学校教育、生涯学習、文化・スポーツ等の振興ために、多くの住民の意見が反映し、多くの住民が参加しやすい教育行政が求められています。また地方分権が進む中、地域に根ざした教育システムの確立が必要です。例えば、鶴ヶ島市では、教育審議会を設置し、多くの住民の意見を反映し、教育改革に取り組み、教職員団体代表も参加しています。公立小中学校や社会教育にかかわっているのは、勤労者やその家族が大多数です。勤労者の代表を教育行政の場に参加させ、意見反映をはかることは、地域に開かれた住民の意見を反映した教育の実現のために必要です。

なお、本内容は昨年度も要請しましたが(但し、下線部分につきましては、今回新たに追加しました)、貴自治体から頂きましたご回答は、要請内容に対して「回答不充分」と判断し、本年度も引き続いて要請をさせていただきます。参考といたしまして、昨年度、貴自治体より頂戴いたしましたご回答を以下に記載いたします。更なる前向きなご検討をお願いいたします。

2000年度ご回答:

3.公立小中学校において、男女平等教育の推進、男女混合名簿の実現を要請します。【継続要請】

(解説)国は、男女共同参画社会基本法を制定し、埼玉県も埼玉県男女共同参画条例を制定しています。男女共同参画社会の実現のためには、男女の個人としての尊厳を重んじ、男女の差別をなくし、「男」「女」である以前にひとりの人間としての能力を発揮できる機会を確保することが求められています。また、あらゆる機会や場を通じて、男女共同参画社会実現のために、積極的な施策が必要です。学校教育の場においても男女平等教育が県の教育の重点にされていますが、男女混合名簿の実施も、埼玉県全体では飛躍的に実施率が高まっているにもかかわらず、当該地域(坂戸市・鶴ヶ島市・毛呂山町・越生町)では、未実施または一部実施にとどまっています。21世紀を迎えた今日、完全実施の姿勢が必要です。

なお、本内容は昨年度も要請しましたが、貴自治体から頂きましたご回答は、要請内容に対して「回答不充分」と判断し、本年度も引き続いて要請をさせていただきます。参考といたしまして、昨年度、貴自治体より頂戴いたしましたご回答を以下に記載いたします。更なる前向きなご検討をお願いいたします。

2000年度ご回答:

福祉・社会保障政策

1.介護保険制度における、住宅改修費用の全額立て替え払いの改善を図るよう要請します。また、改修工事の発注に当たっては、当該自治体内の工務店を優先するよう重ねてお願いいたします。【新規要請】

(解説)介護保険制度における住宅改修の費用は、高齢者が一時的に全額を立て替え、1〜2ヶ月後に保険から費用の9割が戻ってくる「償還払い」の仕組みになっていることから、年金暮らしの高齢者にとって、一時的とはいえ、立て替え払いは重い負担となっています。一方で、千葉県我孫子市など、一部の自治体では、立替分を市が業者に支払い、高齢者は最初から1割の自己負担だけを支払えば良い制度を独自に設けています。

なお、住宅改修は介護度の状況や使い勝手など少しずつ見直しをする箇所がでてくることから、アフターサービスが容易に出来る地元工務店へ優先的に発注することが、地元の経済振興、地域ぐるみの介護意識の向上にも繋がり、地域密着型のよりよい制度運営となると思われます。

2.民間保育施設の実態把握を行うとともに、県と連携してその指導・支援をするよう要請します。【継続要請】(坂戸市のみ)

(解説)無認可保育施設は、認可保育施設ではカバーしきれない部分を補完する、なくてはならない施設となっています。しかし、無認可施設の一部には、幼児への虐待や衛生管理などに問題があり、大きな社会問題となる場合もあることは否定できません。認可保育施設は、県から定期的に調査・指導を行っており、トラブルはほとんど想定されていませんが、無認可施設では、施設側の同意を得ての立ち入り検査・指導も不十分であり、また、検査した施設の指導率が、ほぼ100%である現状から、民間保育施設の実態把握と指導・支援を県の協力を得て徹底することが求められています。

なお、本内容は昨年度も要請しましたが、貴自治体から頂きましたご回答は、要請内容に対して「回答不充分」と判断し、本年度も引き続いて要請をさせていただきます。参考といたしまして、昨年度、貴自治体より頂戴いたしましたご回答を以下に記載いたします。更なる前向きなご検討をお願いいたします。

2000年度ご回答:

3.延長保育や夜間保育、休日保育などの保育施策を実施するための手だてを講ずるよう要請します。【継続要請】(坂戸市、毛呂山市のみ)

(解説)近年、全国的に少子化や核家族世帯が進む中、埼玉県に於いても、共働き世帯や出産後も勤務し続ける女性は増えており、特に当該地域は東京への通勤者が多いことから、通勤時間を含めた長時間の保育環境が望まれています。上記のような保育施策の拡大は、出産後の女性が働きつづけるための環境整備促進になります。ただし、その際には、そこに働く勤労者の労働条件にも充分配慮する必要があり、ボランティアの活用、また活用できるようなシステムの構築が不可欠となると考えます。

なお、本内容は昨年度も要請しましたが、貴自治体から頂きましたご回答は、要請内容に対して「回答不充分」と判断し、本年度も引き続いて要請をさせていただきます。参考といたしまして、昨年度、貴自治体より頂戴いたしましたご回答を以下に記載いたします。更なる前向きなご検討をお願いいたします。

2000年度ご回答:

男女平等政策

1.男女共同参画社会の実現に向けて、男女共同参画を支援する部署を設置するよう要請します。また、行動計画を早期に策定するよう重ねて要請いたします。【新規要請】

(解説)男女共同参画社会の実現につきましては、既に埼玉県に於いて条例化がなされております。しかし、この取り組みを全県的なものにするためには、各市町村に於いて男女共同参画を推進することが極めて重要です。ちなみに、現在の連合埼玉における調査範囲では、行動計画が策定され、更に条例化がなされている自治体は新座市のみとなっています。従いまして、行動計画の策定と共に、その実現を支援する部署を設置し、自治体が中心となって、自ら推進していくことが必要と思われます。

中小企業政策

1.「中小企業勤労者福祉サービスセンター」を早期に設立するよう要請いたします。【継続要請】

(解説)個別中小企業では、大企業並みの福利厚生を整備することは、大変難しいころから、国の助成制度を最大限利用した「中小企業労働者福祉サービスセンター」を早期に設立し、中小企業で働く勤労者の福利厚生の充実を図ることが必要です。

しかし、サービスセンターの設立は一市町村に対しては大きな負担です。従いまして、設立につきましては、「広域連合」の考えを導入し、近隣の市町村が一体となった、広域における中小勤労者に対する「福祉サービスセンター」を設立することを具体的に検討するよう要請いたします。

なお、本内容は昨年度も要請しましたが、貴自治体から頂きましたご回答は、要請内容に対して「回答不充分」と判断し、本年度も引き続いて要請をさせていただきます。参考といたしまして、昨年度、貴自治体より頂戴いたしましたご回答を以下に記載いたします。また、一部の自治体で「要請の内容は商工会で推進していく」との回答を頂いておりますが、「商工会」はあくまでも「経営者」の団体であり、私たちの求めている「勤労者のための福祉サービス」とは、性質も目的も異なるものです。従いまして、もう一度要請の主旨をご理解頂き、更なる前向きな検討をお願いいたします。

2000年度ご回答:

財政政策

1.自治体の公会計公告は以下に示すような基準で行うよう要請します。また、それは住民に判りやすく、充分に理解の得られる財務諸表の内容となるよう工夫改善を図るよう要請いたします。【新規要請】

(1)決算公告には、@貸借対照表Aコスト計算書Bキャッシュフロー計算書に加え、具体的なストック分析を行って、資産内容を明らかにすると共に、道路台帳・河川台帳などの整備を行い、財務諸表の一環として公表するよう要請します。

(2)予算編成は、これまでの各部局のシーリングや実績主義の概念にとらわれず、費用対効果や政策評価制度を十分に反映した、ゼロ・ベースを基本として策定するよう要請します。

(3)上記公会計公告は、住民により判りやすく、充分に理解の得られる内容となるよう、独特の用語や表現、指標等を用いずに行うよう要請します。

(解説)

公会計公告は、地方分権社会を定着させ、住民参加型の行政運営を推進していく上で、極めて重要な情報の開示です。公会計公告の目的は、住民・企業・債権者等のいわゆるステークホルダー(利害関係者)に対し、情報を提供することによって信頼を得ることにあります。更に、今後の行政システムには、住民への説明責任と同時に、財政の透明性・透明性が常に担保されることが求められます。

しかし、現在の公会計公告は、2つの面で課題を抱えています。一つは、ストック情報が欠けているため資産内容を正確に把握することが出来ないことです。自治体の新しい行政システムのあり方として問われているのは、フローとストックの財政状況を住民に理解してもらうシステムの確立です。そのためには、フロー分析(決算統計の活用と工夫)やストック分析(道路台帳・河川台帳などの整備)を行い、ステークホルダーとしての住民に、資源の源泉を明示することが必要です。

もう一つの問題は、独特の用語や指標を使用しているため、公会計公告は、一般の住民、更には会計の心得のあるものにも理解しがたい内容になっている場合が多いということです。分権社会を推進していくためにも、共通の言葉で説明し、説得しなくては開かれた行政運営は成り立たちません。従って、住民の参加意識と自立意識を高める上でも、コミュニケーションツールとしての公会計の役割は一層重要なものとなってきます。

その他要請事項

1.自治体公金の収納取扱金融機関に労働金庫を加えるよう要請いたします。【継続要請】(毛呂山、越生のみ)

(解説)現在、貴自治体における公金の収納取扱金融機関には労働金庫が入っておりません。ご存じのように、労働金庫は働くものの金融機関であり、貴自治体内には労働金庫の本支店等はございませんが、その代わりとして、主な事業所に対し最寄りの労働金庫支店から定期的な訪問巡回による出納業務を行っております。従って、労働金庫を取扱金融機関に指定していただければ、一般の金融機関の取扱時間中は勤務中である多くの勤労者は、自らの事業所内から公金の納入が可能になります。近年に於いては、金融機関の統廃合による、支店の合併・閉鎖などによる不安・不便さから、また来年4月から実施される「ペイオフの解禁」により、取引金融機関を労働金庫に変える傾向も増えております。つきましては、貴市町村における公金の現金収納および口座振替に労働金庫を加えるよう要請いたします。

なお、本内容は昨年度も要請しましたが、貴自治体から頂きましたご回答は、要請内容に対して「回答不充分」と判断し、本年度も引き続いて要請をさせていただきます。参考といたしまして、昨年度、貴自治体より頂戴いたしましたご回答を以下に記載いたします。更なる前向きなご検討をお願いいたします。

2000年度ご回答:

1.水道料金の収納取扱金融機関に労働金庫を加えるよう要請いたします。【継続要請】(坂戸市、鶴ヶ島市のみ)

(解説)現在、坂戸鶴ヶ島水道企業団の収納取扱金融機関には労働金庫が入っておりません。ご存じのように、労働金庫は働くものの金融機関であり、坂戸市および鶴ヶ島市には労働金庫の本支店等はございませんが、その代わりとして、市内の企業・事業所に対し中央労働金庫東松山支店(一部は川越支店)から定期的な訪問巡回による出納業務を行っております。(もちろん、県内各市町村、また、都内の企業・事業所に於いても、最寄りの労働金庫支店が対応しています)従って、労働金庫を取扱金融機関に指定していただければ、一般の金融機関の取扱時間中は勤務中である多くの勤労者は、自らの事業所内から水道料金の納入が可能になり、大変便利になる事は確実です。実際に、夫婦共働き、また一人住まいをされている坂戸・鶴ヶ島両市民の方からは、「早く労金が使えるようにして欲しい」のと声を多く聞いております。つきましては、坂戸市・鶴ヶ島市における水道料金の現金収納および口座振替に労働金庫を加えるよう要請たします。

なお、本内容は、坂戸市・鶴ヶ島市両自治体に要請させていただいております。ぜひとも、両自治体の連携にて要請内容のご検討を頂きたくお願い申し上げます。

以上

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