○○市(町)市(町)長
○○殿

2003年12月○○日
日本労働組合総連合会埼玉県連合会
西部第三地域協議会
議長 武田 剛

社団法人 埼玉県労働者福祉協議会
 西部第三地域労福協
会長 武田 剛

貴職におかれましては、市(町)民のため、日夜のご健闘をされていることに対し、深く敬意を表します。

また、日頃より、私ども日本労働組合総連合会埼玉県連合会(略称:連合埼玉)並びに、連合埼玉西部第三地域協議会(坂戸市・鶴ヶ島市・越生町・毛呂山町の2市2町地域 略称:西部第三地協)、また、社団法人埼玉県労働者福祉協議会(略称:埼玉労福協)並びに、埼玉労福協西部第三地域労福協(略称:西部第三労福協)に対し、深いご理解とご協力をいただいておりますことを、心から御礼申し上げます。

さて、私たち連合埼玉は「ゆとり・豊かさ・公正な社会」の実現を目指す取り組みとして、市政への政策・制度改善要請項目を以下のようにまとめました。これは、経済優先社会から脱皮し、生活者重視への社会的転換をはかり、まじめに働くものがむくわれる公正な社会の実現と、安心して暮らせる地域社会の確立に向けた要請であります。

以下の項目をご参照いただき、今後の市(町)政および平成16年度の予算編成に充分に反映されますよう要請いたします。

なお、本要請に対するご見解を平成16年2月末日までに、文書にてご回答いただきたく、お願い申し上げます。

T.中小企業政策

1.「中小企業勤労者福祉サービスセンター」を早期に設立するよう要請いたします。【継続要請】

(解説)個別中小企業では、大企業並みの福利厚生を整備することは、大変難しいころから、国の助成制度を最大限利用した「中小企業労働者福祉サービスセンター」を早期に設立し、中小企業で働く勤労者の福利厚生の充実をはかることが必要です。

しかし、サービスセンターの設立は一市町村に対しては大きな負担です。従いまして、設立につきましては、「広域連合」の考えを導入し、近隣の市町村が一体となった、広域における中小勤労者に対する「福祉サービスセンター」を設立することを具体的に検討するよう要請いたします。

U.福祉・社会保障政策

1.徘徊感知機器に位置確認のできる携帯端末の普及をはかるよう要請いたします。

(解説)痴呆高齢者を在宅で介護している家族にとって徘徊問題は、精神的な負担となっています。また、市町村においては、防災無線等の放送を活用して捜索の協力要請を行なう現状となっています。現在、介護保険で決められている徘徊感知器は、屋外に出ようとしたとき、または屋内のある地点を通過したときに、感知・通報するタイプであり、位置確認機能がないため、移動する高齢者を探すことができません。徘徊行動のある高齢者の早期保護と安全確保を行い、介護する者の負担の軽減と安心して介護できる環境の整備をはかるため、位置確認のできる携帯端末等の普及をはかることが求められています。

2.市(町)において総合的な「地域福祉計画」を策定するよう要請いたします。なお、策定にあたっては、住民を参加させるとともに具体的数値目標を定めるよう要請いたします。

(解説)埼玉県内における2003年6月末現在の市町村地域福祉計画の状況は、策定および2003年度策定予定を合わせて5自治体となっており、90市町村全体の5.5%です。また、策定時期未定、策定予定ではありますが時期未定の自治体は67市町村(74%)です。

地域に暮らす人みんなが「安心して暮らせるまち」の将来像を創る地域福祉計画の策定は、「高齢者保険福祉計画・介護保険事業計画」「障害者計画」「育児育成計画」「母子育成計画」等、従来の枠組みを超えて、あらゆる「くらしの課題」を視野にいれる総合的な福祉施策の基礎となるため、全市町村で策定に向けた取り組みが求められています。

また、策定作業にあたっては幅広い地域住民の参加を基本とする視点をもった計画策定が望まれます。

3.「NPO」の育成と支援、また行政と「NPO」の事業協同も視野に入れ、積極的な取り組みをはかるよう要請いたします。

(解説)福祉活動や街づくり活動の分野における「NPO」をはじめとする、「非営利組織」の役割は社会にとってますます重要なものとなってきています。これら「NPO」の実態を把握するとともに、その育成と支援、また、場合によっては、行政と「NPO」の協同/共同事業を視野に入れて積極的な取り組みを行うことは、市民を巻き込んだこれからの行政のあり方としても必要かつ重要であると考えます。

V.教育政策

1.「開かれた学校」づくりを推進するために以下の施策を講ずるよう要請いたします。

(1)学校評議員制度における人選や運営方法を見直し、学校運営に対する参加型の制度とするよう要請します。

(2)個人・団体・企業等が地域の学校に参加・協力・支援できる「学校協力員(団体・企業)制度(仮称)」を創設するよう要請します。

(3)保護者・地域が参加・協力して、自主的・主体的に教育内容や学校運営等を改善する「学校運営評価制度(仮称)」を創設するよう要請します。

(解説)

(1)学校評議員の人選にあたっては、保護者・地域住民等に加え、教職員の代表や勤労者代表を含めるとともに、児童・生徒に関わる課題を審議する場合は、児童・生徒の代表が参加できるようにすることが望ましいと考えます。運営にあたっては、全体論議の場を重視した合議制とし、会議は公開を原則とするなど、学校運営に対する参加型の制度とすることが「開かれた学校」づくりには必要です。

(2)「開かれた学校」づくりを進めるためには、地域社会の協力なしには進めることはできません。個人・団体・企業等がそれぞれの地域の学校に参加・協力・支援できる内容を学校および教育委員会に登録してシステム化し、教育委員会・学校の要請に応じて学校の運営に参加・協力・支援する「学校協力員(団体・企業)制度(仮称)」を創設することが必要です。

(3)学校は保護者・地域と協力して、自主的・主体的に教育内容や学校運営等を改善するため、教育目標や教育計画等を年度当初に、保護者、児童・生徒、地域住民に説明するべきです。また、学校はその進捗状況を、随時、保護者と地域住民に報告するとともに、年度末に教職員も加え、児童・生徒の意見も反映させた上で「学校運営評価」を行い、評価結果とそれらを踏まえた今後の取り組み方向等を、保護者、児童・生徒、地域住民に公表する必要があります。しかしながら、「学校運営評価」は個々の学校優劣を示すものとならないよう、充分な配慮をすることが必要と考えます。

2.子どもの成長段階にあわせ、小学校・中学校・高等学校教育において、ものづくりなどの実体験を通じ、系統的に勤労観・職業観を育む教育やキャリア教育を進めるよう要請いたします。

(解説)現在の厳しい雇用情勢やフリーター現象を考えると、今後、子どもたちに勤労観・職業観を育むための教育が必要となってきます。

(1)子どもの成長段階に応じた労働体験やものづくり教育の履修時間の拡大と内容の充実をはかるとともに、労働法などのワークルール等を学び、職業能力や進路選択力を高めることを重視する必要があります。

(2)性別にとらわれない職業観の育成や性別役割分担の固定観念で、個人の選択肢が狭められないよう、男女共同参画社会推進のための教育もあわせて行う必要があります。

(3)企業や商店、各種団体は学校と協力して「職場見学・体験の日」を設定するなど、保護者や大人が働く姿を子どもに見せ、就業体験や体験学習、労働セミナー等の場を学校教育において実施することが必要です。

また、本年4月に深谷市インターンシップ推進協議会が発足し、市内在住、在学の高校2年生を対象に2週間の就業体験を行う事業が推進されています。このような事業は就職後における実効ある人材育成につながるとともに、就職のミスマッチなどによる中途離職者の抑制、さらには地元企業の活性化が期待できるものであると考えます。

3.児童・生徒の学力保障・生徒指導の充実のために、全ての小中学校に学習指導員を配置充実するよう要請いたします。【坂戸市のみ】

(解説)

(1)一人ひとりの子供たちに、学力を保障しきめ細やかな指導をするために、学習指導員が配置され始め、個に応じた指導、多様な子供に対する対応、基本的な生活習慣づくりに大きな効果をもたらしています。

(2)学級定数改善が進まない中、多様な子供たちや市民の教育要求に応えるためには、すでに効果が発揮されている学習指導員の配置、拡充が必要です。教員の多忙さを改善し、協力して、子供たちの指導を充実させることができます。

W.男女平等・人権政策

1.貴市に於かれましては、男女共同参画社会の推進に関し、専門のセクションも設置され、推進計画も策定されています。また、その内容を市ホームページにて公開するなど、広報にも務められていることに敬意を表します。しかし、男女共同参画推進に関する条例化がなされておりません。早急に「男女共同参画推進条例(仮称)」を設置されますことを要請いたします。また、同時に県の女性センターで開催しているセミナーや講座などの各種情報提供も併せて行うよう要請いたします。【坂戸市・鶴ヶ島市】

1.男女共同参画推進に関して、専門のセクションの早急な設置、また、男女共同参画推進に関する条例化、「男女共同参画推進条例(仮称)」を設置されますことを要請いたします。さらに、具体的な計画・取り組み状況を町ホームページに掲載するなど、情報開示・広報に務めるよう要請いたします。【毛呂山町・越生町】

(解説)男女共同参画社会の実現につきましては、既に埼玉県に於いて条例化がなされております。しかし、この取り組みを全県的なものにするためには、各市町村に於いて男女共同参画を推進することが極めて重要です。すでに県内の一部自治体(平成15年10月現在11自治体)に於いては独自の条例が設置されています。従いまして、行動計画の策定と共に、その実現を支援する部署、独自条例を設置して、自治体が中心となり、自ら推進していくことが必要と思われます。

2.ドメスティックバイオレンス(家庭内暴力:DV)防止に関して、DV被害、各種相談窓口の紹介を市ホームページや広報で情報が入手できるようにするよう要請いたします。また、市・町独自の相談窓口の設置・電話相談等の実施、独自での設置・実施が困難である場合は、近隣自治体と協同での設置・実施をするよう要請いたします。

(解説)内閣府男女参画局が、平成14年10月から11月に実施した「配偶者等からの暴力に関する調査」によりますと、平成13年4月に成立した「配偶者からの暴力の防止および被害者の保護に関する法律(配偶者暴力防止法)」について、「法律の成立も、その内容も知っている」と回答した人は2割弱となっています。また、「配偶者からの暴力についての相談窓口として知っているものは」の設問では、男女とも配偶者暴力防止法の「成立も内容も知っている人(全体の2割弱)」で「警察」と答えた人は、ほぼ8割に上りますが、「女性のための総合的な施設」と答えた人は、女性で約5割弱、男性では4割に満たない結果となっており、女性センターや男女共同参画センターなどの「女性のための総合的な施設」に対する認知度は、きわめて低いことが浮き彫りとなっています。

X.食料・農業政策

1.現在行われているWTO農業交渉において、農林水産業の多面的機能の発揮や、各国の多様な農林水産業が共存できるような貿易ルールに改めるよう政府に対し求めるよう要請します。また、食料の安全、安心、安定的な確保と、地域での食料に対する啓蒙、宣伝を推進するよう要請いたします。

(解説)WTO農業交渉は、9月10日からメキシコ・カンクンで開催された第5回閣僚会議をもって大詰めを迎え、結果は先進国と途上国の意見の対立で決裂となりました。

8月24日に示された閣僚会議の宣言案では、農業分野については米国とEUの共同提案の枠組みをベースとして、日本の米や乳製品等の高関税に上限を設けるなどとしており、日本が主張してきた関税の上限設定の撤廃や、低関税での輸入枠拡大の撤廃などは受け入れられていません。

この案は、アメリカなどの農産物輸出国がますます輸出を拡大しやすくするためのものでしかなく、しかも、アメリカなどが行っている国内農家への手厚い補助政策や輸出補助政策は温存されるなど、きわめて不公平なものであり、絶対に認めることは出来ません。

農産物輸出国主導の宣言案では、日本農業は壊滅的打撃を受け、食料の安定供給や環境の保全にも大きな影響を与えます。また、これは、途上国も含めた各国の農業や食料問題の解決を更に困難にするものです。林産物、水産物についても関税撤廃・削減を行うことは環境や資源をますます荒廃させるものであり、各国の多様な農林水産業が共存できるような貿易ルールとはとうてい言えません。

今後の農業交渉にあたって、農業の多面的機能発揮と食料の安全保障、自給率向上が出来るよう確固たる姿勢で臨み、提案されているような閣僚宣言案に対しては、合意しないよう強く求めるものです。

Y.道路・交通政策

1.市道の整備・整理を早急に行うよう要請いたします。【坂戸市・鶴ヶ島市】

(解説)一部の区画整理された区域を除き、市内の道路は狭く、曲がりくねり、歩道の整備も不十分で、交通量の増加に伴い不便さが際だってきています。また、現在工事が加速・促進されている「圏央道延長」工事に伴い、大型車両などの交通量も増え、「圏央道」の完成後は当然のことながら、さらなる交通量の増加が予想されます。現在でも、一部の通勤路・通学路において、歩行者や自転車の通行の際に非常に危険な個所も多く、早急な対応が望まれます。

1.道路・交通網の整備・整理を早急に行うよう要請いたします。【毛呂山町のみ】
具体的には、

@新飯能寄居線の早期開通を要請いたします。

A川角駅周辺の整備、道路の拡張を要請いたします。

B西大久保地域内(上ブロック)、県道川越・越生線交差点に信号機の設置を要請いたします。

(解説)

@県道岩井工区(陸橋)開通以来、役場前および毛呂山中学校前と車両が増加しており、既存の道路状況では危険が伴うため、早期の開通が望まれます。

A川角駅の乗降客数は、毛呂山町では一番多くなっております。しかしながらその駅前は、道路幅が狭いため、ガードレールの設置も出来ず、車両同士のすれ違いも、譲り合わねば出来ない状況であり、通勤、通学に駅を利用するサラリーマンや学生が車と接触しながら通行している有様です。また、駅周辺の道路整備も遅れがちであり、危険な個所が見受けられ、早急な対策が望まれます。

B同信号機の設置は、地元からの声も強く、過去10年来の要望となっています。道路の形状など設置インフラに関する問題はあるように思われますが、押しボタン式を含む、信号機の設置を要請いたします。

2.駅前の路上駐輪(放置自転車)の対策を行うよう要請いたします。【坂戸市・鶴ヶ島市・毛呂山町】

(解説)駅前の放置自転車については、駐輪場の整備・放置自転車の取り締まり等により、一時に比べてだいぶ改善されてきましたが、最寄り駅から遠方の宅地開発の影響により、一部の駅ではまた増加しています。このような放置自転車は、整備された歩道を塞ぎ、通行のじゃまとなるだけでなく、転倒等による事故の原因ともなり得るため、さらなる対応が求められます。また、取り締まり・インフラの整備も必要ですが、最も重要なことは市民のモラルの向上で、行政が中心となり、自治会、企業・商店、学校・教育機関などを通じた教育・指導が必要であると考えます。駅前周辺は、その街の「顔」です。駅前周辺に乱雑に放置された自転車は、その街の第一印象を決して良くはしません。「暮らしやすい・きれいな街づくり」の一環として位置づけ、取り組みをお願いいたします。


Z.その他要請事項

1.水道料金の収納取扱金融機関に労働金庫を加えるよう要請いたします。【坂戸市・鶴ヶ島市 継続要請】

(解説)現在、坂戸鶴ヶ島水道企業団の収納取扱金融機関には労働金庫が入っておりません。ご存じのように、労働金庫は働くものの金融機関であり、坂戸市および鶴ヶ島市には労働金庫の本支店等はございませんが、その代わりとして、市内の企業・事業所に対し中央労働金庫東松山支店(一部は川越支店)から定期的な訪問巡回による出納業務を行っております。(もちろん、県内各市町村、また、都内の企業・事業所に於いても、最寄りの労働金庫支店が対応しています)従って、労働金庫を取扱金融機関に指定していただければ、一般の金融機関の取扱時間中は勤務中である多くの勤労者は、自らの職場で水道料金の納入が可能になり、大変便利になる事は確実です。実際に、夫婦共働き、また一人住まいをされている坂戸・鶴ヶ島両市民の方からは、「早く労金が使えるようにして欲しい」のと声を多く聞いております。つきましては、坂戸市・鶴ヶ島市における水道料金の現金収納および口座振替に労働金庫を加えるよう要請たします。

なお、本内容は、坂戸市・鶴ヶ島市両自治体に要請させていただいております。ぜひとも、両自治体の連携にて要請内容のご検討を頂きたくお願い申し上げます。

1.予防医療として、健康基本診査の充実ならびに受診率を向上させるような施策を講ずるよう要請いたします。【毛呂山町のみ】

(解説)生活習慣病および健康に関する第一次予防が重要視される現状にあって、貴町におかれましては、「早期発見・早期治療」に切っても切れないものである「健康基本診査」の受診率が低いという特徴があります。町民の健康管理に役立つような「健康基本診査」の充実と受診率をアップさせるような対策が必要です。

2.葛川放水路の早期完成を要請いたします。【毛呂山町のみ】

(解説)同河川周辺では、毎年必ず集中豪雨による水害が大小に関わらず発生しております。町としても同放水路の早期完成を目指し、県への働きかけを精力的に行うことが必要と考えます。

以上