○○市(町) 市(町)長
   ○○ 殿
2004年11月○○日
日本労働組合総連合会埼玉県連合会
西部第三地域協議会
議長 武田 剛
 
社団法人埼玉県労働者福祉協議会
 西部第三地域労福協
会長 武田 剛
 
貴職におかれましては、市(町)民のため、日夜のご健闘をされていることに対し、深く敬意を表します。
 
また、日頃より、私ども日本労働組合総連合会埼玉県連合会(略称:連合埼玉)並びに、連合埼玉西部第三地域協議会(坂戸市・鶴ヶ島市・越生町・毛呂山町の2市2町地域 略称:西部第三地協)、また、社団法人埼玉県労働者福祉協議会(略称:埼玉労福協)並びに、埼玉労福協西部第三地域労福協(略称:西部第三労福協)に対し、深いご理解とご協力をいただいておりますことを、心から御礼申し上げます。
さて、私たち連合埼玉は「ゆとり・豊かさ・公正な社会」の実現を目指す取り組みとして、市政への政策・制度改善要請項目を以下のようにまとめました。これは、経済優先社会から脱皮し、生活者重視への社会的転換をはかり、まじめに働くものがむくわれる公正な社会の実現と、安心して暮らせる地域社会の確立に向けた要請であります。
以下の項目をご参照いただき、今後の市(町)政および平成17年度の予算編成に充分に反映されますよう要請いたします。
なお、本要請に対するご見解を平成17年2月末日までに、文書にてご回答いただきたく、お願い申し上げます。
 
【1】中小企業政策
 
1.「中小企業勤労者福祉サービスセンター」を早期に設立するよう要請いたします。
 
〈要請の根拠〉
個別中小企業では、大企業並みの福利厚生を整備することは大変難しいことから、国の助成制度を最大限活用した「中小企業勤労者福祉サービスセンター」を早期に設立し、中小企業で働く勤労者の福利厚生の充実をはかることが必要です。
 
 
【2】福祉・社会保障政策
 
1.乳幼児医療費補助金の支払方法を「現物給付」にするとともに、制度の充実をはかるよう要請いたします。
 
〈要請の根拠〉
子育て支援の観点から、多くの県民が県内全市町村での「現物給付」を望んでおりますが、現在「現物給付」は22市町村、「償還払いの手続き簡素化」を行っている所が56市町村、「償還払い」が12市町村です。
また、乳幼児医療費補助の対象年齢や、補助内容・金額は各市町村によって異なりますが、子育て支援先進県をめざし「県内どこでも安心・充実した乳幼児医療補助制度」に向けて、市町村における制度の充実が必要です。
 
 
2.次世代育成支援対策推進法に基づく地方自治体の「地域行動計画」策定にあたっては、住民のニーズや働く者の意見等を反映させるよう要請いたします。
 
〈要請の根拠〉
標記法律では、全ての地方自治体において、2005年3月末日までに地域における次世代育成支援のための行動計画を策定しなければならないと規定されています。次世代育成支援に向けた取り組みは、地域及び職場において一体的に行なわれることが、より一層実効性を高めることから「地域行動計画」の策定にあたっては、公聴会やパブリックコメント等により、広く地域のニーズや働く者の意見等を聴取し、行動計画に反映させることが必要です。
 
3.次世代育成支援対策推進法に基づく「地域行動計画」策定後、計画の実効性をチェックする「次世代育成支援対策地域協議会(仮称)」を設置するよう要請いたします。
 
〈要請の根拠〉
地方自治体における「地域行動計画」の推進にあたっては、地域内でのきめ細かな取り組みが求められています。そのためには、各年度において計画の実施状況を把握・点検し、その結果をその後の対策や計画の見直しに反映させていく必要があることから、住民代表や働く者の代表、学識者、関係機関からなる「次世代育成支援対策地域協議会(仮称)」を設置し、住民のニーズや働く者の意見等を行動計画に反映させて行くことが重要です。
 
 
【3】環境・食料・農林水産対策
 
1.住民が安心して生活を営むためには、安全な住環境とまちづくりが重要です。自然災害・火災・テロ等に対応した総合的な防災条例の整備および広域災害に対応しうる安全なまちづくりを行うよう要請いたします。
 
〈要請の根拠〉
来年1月17日に阪神淡路大震災から10年を迎えます。この大震災発生以降、埼玉県としても「埼玉県震災予防のまちづくり条例」の施行など、市町村行政と防災及び災害対策の整備に取り組まれてきました。
また、今年は数多くの台風上陸による大水害、記憶に新しい「新潟県中越地震」による大災害など、大きな災害が連日のように発生しました。「自分の住んでいるところは本当に安全だろうか?」現在ほど防災・災害対策に住民の関心が高まっている時期はないでしょう。
しかし、防災及び災害対策には広範囲な部署が係わり、かつ市町村行政の役割も大きく、住民からトータルビジョンが非常に見えにくい現状があります。
住民(家族)が安心・安全に暮らすためには、通勤・通学・買い物を含めた生活空間・環境の確保が重要であり、災害難民にならないためには災害発生時に職場・学校から交通網が分断された時に、家族の元へ戻る経路を確保することが求められています。広告塔等や全面ガラス張り(例:さいたま新都心のビル群)の建築物およびデッキ状の駅前(西部第三地域では北坂戸駅西口)は設計強度を含めて安全基準を確認し、災害時に本体及び部分的な落下による避難路及び避難場所へ二次災害が発生しないよう、建造物を有する関係各所へ安全確保の指導は必要です。一方で、都市部だけでなく、河川近辺や傾斜地など、水害・土砂崩れ等に対する予防措置、危険時における避難勧告指示・指揮系統の徹底など、またそれに伴う各種インフラの整備等、行政として調査・対策・情報開示を実施する必要があります。
地震・台風に代表される自然災害の他、火災、テロ等の想定されるあらゆる突発事項、そして、すべての年令層の住民に対応した情報提供もあわせて一本化したマニュアルを作成し、住民に防災意識の啓蒙と大規模災害時の対処法の周知徹底をはかり、安心・安全なまちづくりを推進する必要があります。
 
2.大気汚染・騒音防止対策としてアイドリングストップ条例の周知徹底をはかるよう要請いたします。
 
〈要請の根拠〉
アイドリングストップは公共交通機関では徹底されてきておりますが、まだ一般車両にいたってはあまり励行されていないのが現状であり、広く住民に啓蒙活動を展開するとともに、特に夜間の住宅地周辺(コンビニエンスストア・遊戯施設・飲食店・公園)での停車・駐車時の徹底と指導強化が求められます。
 
3.政府が進めている「食料・農業・農村基本計画」の見直しにあたっては、食料自給率の向上、幅広い担い手の育成、優良農地の確保、所得補填による経営安定対策、及び食の安全対策の拡充・強化をはかるよう要請いたします。
 
〈要請の根拠〉
日本農業の状況を1990年と2000年で比較してみると、農地面積は524万haが483万haに、農家戸数は383万戸が312万戸に、農業就業人口は565万人が389万人に減少しています。さらに、耕作放棄地は22万haが34万haに増加、65歳以上の高齢就農者は50%を超え、主業農家も減少し、日本農業の将来展望は明るいものとはいえません。
このような状況の中、1999年7月に「食料・農業・農村基本法」が制定され、その基本理念をより実効性のある施策の展開を図るため、2000年3月に「食料・農業・農村基本計画」が制定されました。この基本計画は概ね5年ごとに「見直し」とされ、本年8月に食料・農業・農村政策審議会の「中間論点整理」が示されたところです。
その問題点は、(1)第一に検証すべき食料自給率の観点がない、(2)「担い手」が大規模農家に絞り込まれている、(3)経営安定対策でも対象範囲が「担い手」中心であり、中小農家が切り捨てられている、(4)農地制度では、構造改革特区でのリース方式を16年度末までに結論を得て全国展開するといる拙速な対応となっている、等です。
来年3月の「基本計画」決定に向け、「食料自給率の向上」を目標に据えた計画となるよう求めていくことが必要です。
 
 
【4】教育政策
 
1.帰国・外国人児童生徒の教育の権利と機会を確保するとともに、教育の充実をはかるため、以下の施策を講ずるよう要請いたします。
(1)帰国・外国人児童生徒の実態に応じ、学習面や生活面の円滑な適応をはかるため、各校の受け入れ体制の整備・充実をはかるよう要請します。
(2)帰国・外国人児童生徒の特性の伸長・活用をはかるとともに、他の児童生徒との相互啓発をつうじた国際理解教育を推進するよう要請します。

 
〈要請の根拠〉
帰国・外国人児童生徒は、生活習慣、母国語、日本語の習得状況など様々であり、さらに、保護者の滞在期間、形態や永住希望の有無など、児童生徒を取り巻く環境は多様化しています。このような中で、帰国・外国人児童生徒の教育の権利と機会を確保し、教育の充実をはかるためには、学校生活のみならず生活面においても円滑な適応をはかることが必要です。また、国際理解教育を促進する観点からも、異文化を背景に持つ帰国・外国人児童生徒の特性の伸長・活用をはかり、その他の児童生徒との相互啓発を進めることは重要です。
しかし、帰国・外国人児童生徒が1人も在籍していない学校では、国際理解教育に対する意識や取り組みがやや消極的になりがちであり、このような学校に日本語指導を要する児童生徒が転入・編入してきた場合、学校として組織的に適応指導にあたる準備ができていないために、学級担任が一人で抱え込んでしまうこともあります。
また、高校入試において、在日外国人枠を設けている高校は少なく、事実上その門戸は非常に狭いものとなっています。結果として、定員割れをする高校が十分な準備のないまま生徒を受け入れています。
 
2.障害の程度等に応じ特別の場で指導を行う「特殊教育」から、「共生・共学」の視点に立ち、障害のある児童生徒一人ひとりの教育的ニーズに応じて適切な教育支援を行う「特別支援教育」への早期転換をはかるため、以下の施策を講ずるよう要請いたします。
(1)県レベル及び一定規模の地域レベルでの教育・福祉・医療等の関係機関部局とのネットワークを構築するよう要請します。
(2)各学校において専門家による指導・助言等の相談支援が受けられるようにするとともに、保護者や地域の人々への理解推進のため、LD、ADHD、高機能自閉症についての適切な情報提供を行うよう要請します。
(3)特別な教育的支援を必要とする児童生徒への対応を検討するための委員会を、すべての小・中学校に早期に設置するよう要請します。

 
〈要請の根拠〉
平成14年2月から3月にかけて文部科学省が調査研究会に委嘱して実施された「通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する全国実態調査」の結果によりますと、知的発達に遅れはないものの、学習面や行動面で著しい困難を示す児童生徒の割合は6.3%であることが明らかになりました。このうち、学習面が4.5%、行動面が2.9%、学習面と行動面の双方が1.2%です。
この数値から、学習面や行動面で著しい困難を示す児童生徒は、40人学級では2〜3人、30人学級では1〜2人在籍している可能性があることが判ります。つまり、特別な教育的支援を必要とする児童生徒が「どの学級にも在籍している可能性がある」という意識をもつことが大切です。LD、ADHD、高機能自閉症も含めた障害のある児童生徒一人ひとりの教育的ニーズを把握し、当該児童生徒の持てる力を高め、生活や学習上の困難を改善又は克服するために、適切な教育や指導をつうじて必要な支援を早期に行うことが求められています。
 
3.児童生徒の安全はもとより、地域住民の安全な避難場所を確保する観点から学校施設の耐震診断を速やかに実施するとともに、耐震改修工事を早期に行うよう要請いたします。
 
〈要請の根拠〉
平成16年4月1日現在の県内公立小・中学校の耐震診断率は56.4%、耐震化率は23.5%と極めて低い状況にあります。学校は子どもたちが日々学び、遊び、活動する場であり、また、災害時の地域住民の緊急避難場所でもあります。
「新潟県中越地震」の例を挙げるまでもなく、震災は何時襲ってくるか判りません。児童生徒の安全はもとより、地域住民の安全な避難場所を確保する観点から、早期耐震対策が必要です。
 
【5】男女平等・人権政策
 
1.仕事と家庭の両立支援策を促進するため、ファミリーサポートセンターを設置するよう要請いたします。
 
〈要請の根拠〉
少子・高齢社会が急速に進む中、国や地方自治体において、その対策に向けた施策が進められていますが、依然として、多くの女性が出産・育児や介護などの理由から、自らの意思に反して仕事の継続を断念しています。
少子・高齢社会に歯止めをかけるためには、労働者が育児や介護をしながら働き続けることができる環境をつくることが不可欠です。
「ファミリーサポートセンター」は、育児の援助や高齢者等に対する軽易な介護などの援助を行いたい住民と、援助を受けたい住民が会員となり育児や介護について助け合う会員組織であり、労働者の育児および介護に対する多様なニーズに柔軟に対応でき、地域における子育て支援・介護支援の機能強化に向けても重要な役割を担っていることから、「ファミリーサポートセンター」を設置することが必要です。
 
2.保育所待機児童の解消に向け、低年齢児保育を拡充するとともに、駅型総合保育所や幼保一体施設などの整備をはかるよう要請いたします。
 
〈要請の根拠〉
核家族化や女性の社会進出が進んだことにより、保育所への入所希望が増大し、既存の保育所では対応できずに多くの待機児童が生じています。
埼玉県では平成15年4月1日現在、保育所待機児童が約3,400人いるとされており、中でも低年齢児(0〜2歳児)のウエイトは高く、全体の63.5%を占めていることから、低年齢児保育の拡充は保育所待機児童の解消につながるものと考えます。
低年齢児保育は、乳幼児に対する保育に従事する者の数や保育室等の構造設備及び面積等、3〜4歳児の幼児保育に比べて基準が高いことから、低年齢児保育を実施しない保育所が多いことも事実です。低年齢児保育を実施する保育施設への支援を行い施設の拡充をはかるとともに、駅型総合保育所や幼保一体施設などの整備に向けた施策が必要です。
 
3.児童虐待を早期に発見できるように、「児童虐待ネットワーク」を早期に設置するとともに、その機能の充実をはかるよう要請いたします。
 
〈要請の根拠〉
埼玉県では、虐待相談の統計をとりはじめた平成2年度の相談件数は58件でしたが、平成15年度では1,814件と約31倍にも増えています。また、本年6月末現在の相談件数は566件であり、昨年の同時期に比べ134件も増加しており、平成15年度を上回る勢いです。
昨今の児童虐待の事件をみると、虐待の発見・対応が遅れたことにより、何の抵抗もできない子どもの心と体を傷つけ、時には尊い命すらも奪っている状況にあることから、地域の関係機関によるネットワークが的確に機能していくことが求められています。平成16年4月1日現在、児童相談所・保健センター・教育委員会・警察署・消防署等からなる「市町村児童虐待ネットワーク」が73市町村に設置されていますが、未設置の市町村への早期設置とその機能の充実が求められています。
 
【6】行政システム
 
1.市町村の各種審議会等に働く者の代表を参画させるよう要請いたします。
 
〈要請の根拠〉
各市町村においては、各種審議会の委員選定に公募性を導入するなど、市民の声を行政に反映すべく取り組みがされていますが、働く者の声を直接反映するまでには至っておりません。
勤労者は地域生活・家庭生活・職業生活の3つのフィールドで日常生活を営んでおり、幅広い立場から意見することが可能です。
 
【7】その他要請
 
1.水道料金の収納取扱金融機関に労働金庫を加えるよう要請いたします。【坂戸市・鶴ヶ島市】
 
〈要請の根拠〉
現在、坂戸鶴ヶ島水道企業団の収納取扱金融機関には労働金庫が入っておりません。ご存じのように、労働金庫は働くものの金融機関であり、坂戸市および鶴ヶ島市には労働金庫の本支店等はございませんが、その代わりとして、市内の企業・事業所に対し中央労働金庫東松山支店(一部は川越支店)から定期的な訪問巡回による出納業務を行っております。(もちろん、県内各市町村、また、都内の企業・事業所に於いても、最寄りの労働金庫支店が対応しています)従って、労働金庫を取扱金融機関に指定していただければ、一般の金融機関の取扱時間中は勤務中である多くの勤労者は、自らの職場で水道料金の納入が可能になり、大変便利になる事は確実です。実際に、夫婦共働き、また一人住まいをされている坂戸・鶴ヶ島両市民の方からは、「早く労金が使えるようにして欲しい」のと声を多く聞いております。つきましては、坂戸市・鶴ヶ島市における水道料金の現金収納および口座振替に労働金庫を加えるよう要請たします。
なお、本内容は、坂戸市・鶴ヶ島市両自治体に要請させていただいております。ぜひとも、両自治体の連携にて要請内容のご検討を頂きたくお願い申し上げます。