○○市(町) 市(町)長
   ○○ 殿

2005年○○月○○日
日本労働組合総連合会埼玉県連合会
西部第三地域協議会
議長 越川 求
 
社団法人埼玉県労働者福祉協議会
 西部第三地域労福協
会長 越川 求

 
貴職におかれましては、市(町)民のため、日夜のご健闘をされていることに対し、深く敬意を表します。
 
また、日頃より、私ども日本労働組合総連合会埼玉県連合会(略称:連合埼玉)並びに、連合埼玉西部第三地域協議会(坂戸市・鶴ヶ島市・越生町・毛呂山町の2市2町地域 略称:西部第三地協)、また、社団法人埼玉県労働者福祉協議会(略称:埼玉労福協)並びに、埼玉労福協西部第三地域労福協(略称:西部第三労福協)に対し、深いご理解とご協力をいただいておりますことを、心から御礼申し上げます。
さて、私たち連合埼玉は「ゆとり・豊かさ・公正な社会」の実現を目指す取り組みとして、市政への政策・制度改善要請項目を以下のようにまとめました。これは、経済優先社会から脱皮し、生活者重視への社会的転換をはかり、まじめに働くものがむくわれる公正な社会の実現と、安心して暮らせる地域社会の確立に向けた要請であります。
以下の項目をご参照いただき、今後の市(町)政および平成17年度の予算編成に充分に反映されますよう要請いたします。
なお、本要請に対するご見解を平成18年2月末日までに、文書にてご回答いただきたく、お願い申し上げます。
 
【T】中小企業政策
 
1.「中小企業勤労者福祉サービスセンター」を早期に設立するよう要請いたします。
 
〈要請の根拠〉
個別中小企業では、大企業並みの福利厚生を整備することは大変難しいことから、国の助成制度を最大限活用した「中小企業勤労者福祉サービスセンター」を早期に設立し、中小企業で働く勤労者の福利厚生の充実をはかることが必要です。

なお、予算上の都合など、一自治体での対応が難しい場合は、広域における対応を視野に入れ、具体的な回答を頂きたくお願いいたします
 
 
【U】雇用労働政策
 
1.雇用対策の一環として雇用対策・就職支援窓口を設け、専門の相談員(雇用支援コーディネーター)を配置するよう要請いたします。
 
〈要請の根拠〉
失業率が5%前後と高止まりの中、将来の社会保障システムの維持や、行政の財源確保の観点からも雇用対策が重要でありますが“埼玉県地域労使就職支援機構”の調査では、各市町村の労働行政施策の位置づけは低く、今後も90%が計画していない状況にあります。一方、住民は市町村行政を一番身近な窓口と感じており、全ての相談をワンストップで解決できることを望んでいることが明らかになりました。

住民が健全に生活することはもとより、税収面での財源確保からも定職に就くことは重要であり、市町村行政においても雇用対策が必要です。あわせて、職安法改正に伴い、無料の職業紹介事業が可能となったことからも、相談員(雇用支援コーディネーター)を配置した雇用対策・就職支援窓口を設置し、失業率を改善する必要があります。
 
 
【V】福祉・社会保障対策
 
1.各市町村が遅滞なく新介護保険制度に移行し、充実した制度運営ができるように、以下の施策を講ずるよう要請いたします。

(1)「地域包括支援センター運営協議会」に、利用者・被保険者の代表を構成委員として参加させるよう要請いたします。

(2)「訪問介護労働者の法定労働条件の確保」に関する実態の把握と事業者に対する教育・セミナーなどを実施するよう要請いたします。
 
〈要請の根拠〉
予防重視型システム(予防介護)への転換、地域密着型サービス(地域特性に応じた多様で柔軟なサービス)を実施する「新介護保険制度」が平成18年4月から施行されます。包括支援センターの体制が整わない市町村においては「平成19年度末までの2年間の間で、条例で定める日から施行することができる」とされていますが、新介護保険制度への移行・運用(実施時期・内容、介護サービス事業者の質の向上など)が、埼玉県内各市町村において平成18年4月から的確になされるよう、積極的な対応が求められます。

地域包括支援センターの設置・運営にあたっては、中立性の確保や人材確保支援の観点から、自治体、サービス事業者、関係団体、利用者・被保険者代表などで構成する「地域包括支援センター運営協議会」を設置することとされており、「運営協議会」に、利用者・被保険者の代表として各市町村・地域の勤労者代表を構成委員とすることは、利用者本位の介護保険制度を構築するために必要です。

一方、訪問介護などを営む事業者が増加していますが、事業特有の勤務実態や事業開始間もない事業場も多いこともあって、賃金・労働時間などに関する理解(労働基準法などの法令)が十分でない実態から、厚生労働省労働基準局から『訪問介護労働者の法定労働条件の確保について』の通達(平成16年8月27日)がなされており、訪問介護労働者の法定労働条件の確保の観点から、その実態を把握するとともに、訪問介護事業場に対する教育・セミナーなどによる周知徹底が必要です。
 
 
【W】環境・資源・エネルギー・食品・農林水産政策
 
1.CO2削減に向けて、再資源化の強化をはかるととともに、全県あげての取り組みとするため、以下の施策を講ずるよう要請いたします。

(1)再資源化の強化をはかるため、彩の国リサイクルデータバンクを活用した市民参加型の取り組みを展開するよう要請いたします。

(2)ごみ処理広域化を促進し、焼却効率の改善でCO2の発生を削減するよう要請いたします。

(3)京都議定書のCO2削減に向けて、公共施設の冷暖房効率改善および生ごみ処理機の普及など年間を通じた取り組みをはかるよう要請いたします。特に生ごみ処理機については各市町村において補助金制度が異なっており、県内の統一した補助制度を構築するよう要請いたします。
 
〈要請の根拠〉
(1)一般ごみは焼却処分されるものが多く、CO2削減には焼却量の削減が効果的です。

平成14年度県内90市町村の調査結果ではリサイクル系が相対的に低く、資源回収業者に推奨金等を交付している23件(26%)、廃棄物減量化のための指導員を配置している39件(43%)、粗大ごみ等の修理・販売(譲渡)および交換情報の提供46件(51%)、減量化・再資源化のために市民を加えた組織を設置している54件(60%)となっています。

「彩の国リサイクルデータバンク」を活用し、焼却量の削減に取り組むとともに、環境にやさしいエコ商品・再生品・リサイクル品などを推奨し、消費者(市・町民)に啓蒙活動と意識改革には市・町の指導が必要です。

(2)焼却の効率化として市町村も広域処理を実施(平成10年埼玉県ごみ処理広域化計画)しています。各焼却炉の最適処理能力による稼動でエネルギー効率の改善にも期待できるため、広域化のメリットを最大限に発揮することでCO2の削減が期待できます。

(3)連合ではエコライフ21運動を実施しており、働き方の見直し・生活の見直しも視野に入れて取り組みを展開しています。2008年からの京都議定書の遂行と2007年の評価・見直しに向けてサマータイムの導入やクールビズなど夏場に限らず冬場の施策を強化し、年間を通じた取り組みが必要です。公共施設のデュアル硝子化など冷暖房効率の改善と一般家庭での生ごみ処理機・コンポストおよび分別ストッカーなど地域活動の強化が求められています。
 
2.学校給食等への地場産食材の活用拡大を通じ、小・中学校における食育について一層の充実強化を図るよう要請いたします。
 
〈要請の根拠〉
これまでにも、学校給食には地場産の米など一部については活用されていると聞いていますが、更に学校給食に地場産食材を活用するためには、集荷・供給を含めた生産者・生産者団体等と連携や、学校給食制度の弾力的な運用等などのシステム確立が必要です。一方、食生活の乱れや偏食などからの成人病の低年齢化も深刻な問題となっています。学校給食への地場産食材の活用拡大をつうじ、食生活指針・食料自給率問題等を一体のものとした食育についての一層の充実強化を図ることが重要です。


3.地産地消を推進するとともに残渣の活用による資源循環型社会を確立するよう要請いたします。
 
〈要請の根拠〉
前要求項目にも関連いたしますが、県農産物の県内自給の拡大と県内地域の特徴を活かした農業施策により、地産地消を推進し、残渣の資源循環型社会を確立することで、生ごみの資源化利用を推進する必要があります。

 

4.地域農業の維持・発展に向け、農業生産に携わる担い手の育成・確保、農地集積等に取り組むよう要請いたします。

 

(要請根拠)

政府は2005年3月に新たな「食料・農業・農村基本計画」を策定しました。その中には、意欲と能力のある担い手の育成・確保、農地集積をすすめ、耕作放棄地の発生防止等を強化することなどが含まれています。

今後の地域の農業の維持・発展・多面的機能保持のためにも、地域生産者及び団体等と一体となる話し合いをすすめ、担い手の育成・確保、農地集積等に対し、市町村独自の具体的振興計画策定の取り組みが必要と思われます。

 

5.CO2削減のために、光合成の効率の良い広葉樹の植林を推進するよう要請いたします

 

〈要請の根拠〉

常緑樹(針葉樹)よりも落葉樹(広葉樹)は年間を通じた光合成の数値が高いとした研究結果もあり、CO2削減に寄与するとともに、落ち葉が雑草の抑制効果や雨水の保水効果を高め、結果として自然環境保護や防災対策となります。

また、紅葉樹林を芸術的に植樹し景観を改善することで観光開発および遊歩道・登山道を整備することは県民の健康増進にも役立ち、加えて、スギ・ヒノキの県産木材の利用促進とあわせた広葉樹への転換により、花粉症対策にもつながります。

 


【X】教育政策
 
1.学校施設の耐震化を円滑かつ計画的に推進するため、以下の施策を講ずるよう要請いたします。

(1)教育委員会をはじめ、財政・建設・防災部局等の行政関係者、建築構造や建築計画に係わる学識経験者、設計実務者、教職員等で構成する検討委員会を設置し、耐震化推進計画の具体的な内容等の検討を行うよう要請いたします。

(2)保護者や地域住民等への情報開示を積極的に行い、耐震化事業の重要性や緊急性について幅広い合意形成をはかるよう要請いたします。

(3)校舎や体育館などの施設を一体的に改修するには数年先になる見込みの学校については、体育館だけを前倒しして改修するなどの方針を加え、耐震化を推進するよう要請いたします。
 
〈要請の根拠〉
学校施設は、多くの児童生徒が一日の大半を過ごす学習・生活等の場であることから、安全で豊かな環境を確保することが必要不可欠です。地震発生時においては、児童生徒等の人命を守るとともに、被災後の教育活動等の早期再開を可能とするため、施設の損傷を最小限にとどめることなど、十分な耐震性能を持たせて学校施設を整備することが重要です。

加えて、学校施設は、地域住民にとって最も身近な公共施設であり、また、児童生徒のみならず地域住民の学習や交流の場ともなり、さらに、地震等の災害発生時には地域住民の応急的な避難場所としての役割も果たすことが求められます。

しかし、文部科学省が7月8日に公表した調査結果では、公立小中学校の耐震化率は全国平均51.8%に対し、埼玉県は45.8%と全国第30位であり、厳しい財政状況から学校施設の耐震化は進んでいない状況にあります。
 
 
【Y】男女平等・人権政策
 
1.仕事と子育てを両立させるため、放課後児童クラブの拡充をはかること。

(1)待機児童の解消及び大規模化抑制のため、放課後児童クラブの新設、または小学校の余裕教室など既存の公共施設を活用し、放課後児童クラブの複数設置をはかるよう要請いたします。

(2)すべての放課後児童クラブが「埼玉放課後児童クラブ運営基準」を満たしているか調査を実施し、その結果を市民に情報開示するよう要請いたします。

(3)各放課後児童クラブにおける運営基準が「埼玉放課後児童クラブ運営基準」を満たしていない、および明確にされていない放課後児童クラブは、「埼玉放課後児童クラブ運営基準」を積極的に活用し、運営基準を確立するよう要請いたします。
 
〈要請の根拠〉
放課後児童クラブのニーズは年々高まっています。しかし、小学校に対する設置率は87.9%と放課後児童クラブのない地域・学校区もあります。定員のあるところでは待機児童問題が生じ、一方、定員枠の無いところでは児童が100人を超えるところもあり、入所児童数の大規模化が問題となっています。

待機児童の解消及び大規模化を抑制するために、新設及び余裕教室など既存の公共施設を活用した放課後児童クラブの複数設置が求められています。

現行の法制度では事業の運営や施設等についての基準が明確にされておらず、そのため各市町村の運営判断に委ねられている部分も多く、質の向上に取り組む必要のある事業者が生じている状況にあります。

「埼玉県放課後児童クラブ運営基準」を活用し、県内どの地域においても基準が満たされ、適切に各放課後児童クラブの運営が確立されることが望まれています。
 

2.児童虐待防止に向け、相談体制等の整備状況を情報開示するとともに、さらなる体制強化をはかるよう要請いたします。

〈要請の根拠

児童虐待相談は年々増加し、埼玉県では16年度1月末で1,750件となっており、前年に比べて24%も増加しています。昨年は児童虐待防止法と児童福祉法が改正され、平成17年4月からは、虐待を含めた児童相談の窓口が、市町村にまで拡大されます。

しかし、市町村では限られた職員数や専門家の有無などの課題もあり、児童虐待の相談や通報を受けてからのスムーズな対応が危惧されることから、相談体制を早期に整備し、さらに強化することが望まれています。

 


【Z】その他要請
 
1.水道料金の収納取扱金融機関に労働金庫を加えるよう要請いたします。【坂戸市・鶴ヶ島市】
 
〈要請の根拠〉
現在、坂戸鶴ヶ島水道企業団の収納取扱金融機関には労働金庫が入っておりません。ご存じのように、労働金庫は働くものの金融機関であり、坂戸市および鶴ヶ島市には労働金庫の本支店等はございませんが、その代わりとして、市内の企業・事業所に対し中央労働金庫東松山支店(一部は川越支店)から定期的な訪問巡回による出納業務を行っております。(もちろん、県内各市町村、また、都内の企業・事業所に於いても、最寄りの労働金庫支店が対応しています)従って、労働金庫を取扱金融機関に指定していただければ、一般の金融機関の取扱時間中は勤務中である多くの勤労者は、自らの職場で水道料金の納入が可能になり、大変便利になる事は確実です。実際に、夫婦共働き、また一人住まいをされている坂戸・鶴ヶ島両市民の方からは、「早く労金が使えるようにして欲しい」のと声を多く聞いております。つきましては、坂戸市・鶴ヶ島市における水道料金の現金収納および口座振替に労働金庫を加えるよう要請たします。
なお、本内容は、坂戸市・鶴ヶ島市両自治体に要請させていただいております。ぜひとも、両自治体の連携にて要請内容のご検討を頂きたくお願い申し上げます。