2008年11月○○日

○○  市(町)長

○○ 殿

連合埼玉川越・西入間地域協議会

議 長 藤 澤 勝

 

 

   

 

 

 日頃は、連合埼玉川越・西入間地域協議会の活動に対しまして、ご理解とご協力を賜り厚く御礼を申し上げます。

 さて、連合埼玉の各地域協議会による各市町村の政策制度に対する要請は、今回で18回目を迎えることとなります。

私たちの要請に対しては毎回、行政として真摯に取り組んでいただいているところではありますが、社会環境・経済環境の急激な変化により勤労者・市民の生活や意識も変わりつつあります。

 このような中で、弊地域協議会では「安心して暮せる生活の実現」や「暮しやすい公正な社会づくり」の実現がますます重要になってくるものと考えており、今年度の政策制度要請については、社会環境の変化への対応という観点から昨年の要請に対する回答を踏まえ、連合埼玉における地方自治体への政策制度要求に関する討論会からの意見集約をベースに整理し要請内容を決定しました。

 貴職におかれましては、以下の項目につきまして、今後の市(町)政遂行及び平成21年度の予算編成に充分反映されるよう要請いたします。

なお、今要請に対し○○市(町)がどのように取り組んで行かれるのか、その見解について平成21年2月末までにご回答いただきますようお願い申し上げます。

以上


2008年度

川越・西入間地域協議会

対市町村 政策・制度要請

6分野 19項目

 


T.雇用労働政策 

 

1.若年者の雇用・就職支援として就業意識を高めること。および埼玉県内の製造業・サービス流通業が人材確保に苦労していることを考慮し、産業界・教育局と連携し小中学生での就業体験や高校生のインターンシップなど有効な対策を講ずること。

<要請の根拠>

  高校卒業生への求人倍率は約1.7倍と高い状況であるが、職種によるばらつきが大きく、建設・製造やサービス業は募集しても人が集まらないのが現状である。県内の産業競争力を強化させていくためには、技能・技術の伝承が不可欠であり、ものつくりの楽しさやサービス流通業界の面白さを早いうちから体験することで将来につなげる必要があると考える。埼玉県の多くを占める中小企業の活性化や発展を目指した業界と連携を図った、新たなインターンシップ制度の確立が求められている。

 

2.障がい者の雇用支援として以下の施策を講ずること。

(1)障がい者授産施設自立支援として、施設の経営能力と付加価値生産能力が向上するような施策をさらに推進すること。また県内企業に授産施設の生産能力や得意分野などを広くPRし受注につながるような支援を行うこと。さらに行政からの発注に関しても、率先して授産施設を利用すること。     

(2)知的障がい者の雇用確保をめざして、県内企業に事例報告を行うなど広くPRをすること。また県及び市町村も率先して雇用の確保を行うこと。

<要請の根拠>

(1)埼玉県の工賃倍増計画によって、授産施設の経営能力・付加価値生産性は向上すると考えるが、向上した生産性は販売されなければ収益とはならない。県内企業をはじめさまざまな分野に、県内の授産施設の得意分野をPRするなど販売支援にも取り組む必要がある。あわせて授産施設の製品を埼玉県も率先して利用することが将来の安定生産・販売につながると考える。

(2)障がい者雇用率が全都道府県で44位の埼玉県として、法定雇用率を上回るべく施策を行っているが、知的障がい者の雇用にまでは広がっていないと考える。県内の企業で知的障がい者を雇用している企業も増えてきているが、いまだに極めて少数である。どのような仕事があるのかを含めて各企業は判らないことが多く採用にまで踏み込んでいないのが現状である。各企業に事例報告を行うなど、成功事例を共有化し雇用の促進を進めていきたい。また行政が率先して知的障がい者を雇用し、埼玉県全体での推進を加速させる必要がある。

 

3.中小企業勤労者福祉サービスセンターの会員従業員数を増やすとともに、経営自立化に向けた積極的な施策を講ずること。また、経営自立化に向け、関係する市町村と十分な連携をはかること。(川越市のみ要請)

<要請の根拠>

勤労者が意欲を持って働き、能力を十分に発揮するためには、労働条件の改善に加え、勤労者福祉の向上も重要である。特に中小企業単独では困難である従業員の福利厚生も、「中小企業勤労者福祉サービスセンター」の事業を活用することにより、充実した福利厚生を得ることができる。しかし、近年「サービスセンター」の会員従業員数は横ばいであり、さらに平成22年度には国庫補助が終了するなど、「サービスセンター」の経営自立化は喫緊の課題となっている。

加えて、「サービスセンター」が提供するサービス内容等に地域差があるなどの課題も提起されており、例えば、県内統一のサービスメニューやサービスの相互利用など、サービス内容のさらなる充実をはかり、会員従業員数増へと結びつける必要があると考える。

このような中で、県は「ゆとりとチャンスの埼玉プラン」の施策指標として、「平成23年度末、会員従業員数40,000人」の目標値を掲げており、この目標値の達成は、今後の「サービスセンター」の経営自立化には不可欠であり、積極的な取り組みが求められている。

 


U.福祉・社会保障

 

1.地域医療の充実と医師不足等の解消に向けて以下の施策を講ずること。

(1)県の医療対策協議会との連携により、地域医療体制の充実をはかるため、各医療圏における中核病院を設定し、周辺の開業医や診療所等との連携体制を早期に構築すること。                     

(2)地域の医師および看護師等の不足を解消するため、潜在医師・看護師の活用策や短時間勤務など多様な勤務形態が導入可能となるような施策を構築するとともに、各医療機関に対する財源を含めた支援を行うこと。   

(3)医師不足解消に向けた当面の施策として、医師の過重労働軽減のため医師以外の医療スタッフ(コ・メディカル)の配置基準の設定と、適正配置を進めること。そのために、各医療機関に対する財源を含めた支援を行うこと。

<要請の根拠>

現在、全国的に救急医療や産科・小児科医療体制の減少、医師・看護士等の不足など深刻な問題となっている。医師・看護師の絶対数の不足は埼玉県においても例外ではない。平成16年の厚生労働省統計資料によると埼玉県内の人口10万人に対する医師数は134.2人であり全国最下位。また、同じく看護師数は373.1人であり全国最下位となっている。背景としては、大学医局が従来担ってきた地域への医師紹介の機能が低下してきたことや、夜間・休日における患者の集中、病院勤務医の過重労働、さらには医療に関わる紛争の増加に対する懸念などが要因と言われている。これまで抑制方針を堅持してきた厚生労働省も医師不足解消のため医学部の定員増など施策を打ち出したが、実際に医師が増えるには10年はかかることから、国の施策を受けつつ、県レベルでの早急な取り組みが求められている。そこで当面の施策として以下の3点が有効であると考える。

(1)県内の一定のエリア(医療圏)を設定し、エリア内の中核病院を中心とし、開業医・診療所との連携による地域医療体制を構築する。

  ◆地方の好事例

長野県飯田では、行政や医療関係者で「産科問題懇談会」(会長:南信州広域連合長)を設置。飯田市立病院を拠点病院とし、分娩可能な診療所と妊婦検診を担当する医療機関とで独自の共通カルテによる情報共有化をはかり、各医療機関が連携してお産に対応する「産科セミオープンシステム」を導入。運営主体を超えた医師派遣を行っており、参加医師不足地域のモデルとなっている。

(2)医師不足の要因とも言われている勤務の過酷さから敬遠されがちな、産科・小児科・緊急医療などの病院勤務医の労働環境を改善し、重点的に支援することが必要である。特に産科・小児科に多い女性医師が結婚や出産によって病院をやめることが多いことから、民間企業と同様に短時間勤務制度を適用し、夜勤や泊まり勤務を無くすことなどワーク・ライフ・バランスの観点からも働き続けられる職場環境づくりを行う必要があると考える。

  ◆地方の好事例

@ 大阪市福島区の大阪厚生年金病院では、女性医師を募集するために「午前10時〜午後4時までの6時間勤務、残業・当直一切なし、昇進や賞与にも影響せず。」という制度を構築した。これが好評で全国から女性医師が集まるようになった。

A 静岡県では看護師不足の解消に向けて、静岡県看護協会と連携した潜在看護師再就業支援事業として「病院派遣型再就業研修」を実施している。受講者の家庭事情や技能・経験等に配慮した研修制度であり、職場復帰を目指す潜在看護師の関心も高く、病院からも好評を得ている。具体的には、@.個人単位で随時受講が可能、A.受講者が希望する最寄の研修協力病院で研修が受けられる、B.時期や会場の制約がない、C.短期コースと熟練コースから期間を選択できる、D.実務主体の実践的なカリキュラム・・といった特徴がある。

(3)医師不足による医師の過重労働は深刻な状況にあり、医療ミスを防止する観点からも早急な対策が必要である。その一つとして複数の医師・医療スタッフ(コ・メディカル)による「チーム医療」体制を構築し、医師の直接的な医療行為以外の稼動を医療スタッフに任せることにより、医師の稼動を軽減させることが可能になると考える。

 


V.交通政策

 

1.環境負荷の小さい円滑な交通体系の構築に向けて以下の施策を講ずること。

(1)公共交通機関を中心にした交通体系を整備すること。また、パーク・アンド・ライド等の交通需要管理施策を推進すること。      

(2)駐車場・駐輪場・タクシー乗り場の整備、違法駐車防止条例・荷捌施設整備条例の制定を促進すること。               

<要請の根拠>

(1)自宅から自家用車で最寄りの駅またはバス停まで行き駐車させた後、電車やバス等の公共交通機関を利用して都心部の目的地まで向かう「パーク・アンド・ライド」を採用することにより、都心部の交通環境の悪化を防ぐとともに交通量自体が減少するため、渋滞の緩和だけではなく排気ガスによる大気汚染の軽減、二酸化炭素排出量の軽減といった効果も期待できる。

また、このシステムは都市部だけではなく、観光地や大型施設等にも有効なものである。

(2)「パーク・アンド・ライド」の実現のためには、公共交通機関に設けた駐車場の大型化や駐車料金の最大料金の設定等が必要となる。また、その周辺の交通をスムースにするためには、違法駐車をなくすとともに宅配業者等の荷捌きスペースの確保等が必要なことから違法駐車防止および荷捌施設整備について条例の制定が必要と考える。

◆地方の好事例

@ 札幌市は市営地下鉄の駅(主に郊外)にパーク・アンド・ライド駐車場を民間と共同で設置している。

A 金沢駅で、パークアンドレールを実施。金沢駅西口時計駐車場とJR金沢駅との共同企画で駐車料金の大幅割引がある。1500台収容24時間営業8階建自走式立体駐車場。

 


W.環境・資源・エネルギー・食品・農林水産政策

 

1.京都議定書第一約束期間の開始に際して、以下の施策を講ずること。

(1)温室効果ガス排出量6%削減必達に向けて、年度毎に具体的な目標を設定・管理し、実効を挙げること。               

(2)2013年以降の温室効果ガス規制の内容・あり方について計画を検討し、八都県市ひいては全国の都道府県において先進的・主導的な役割を発揮すること。

(3)消費者意識の向上および環境教育の観点からも、県有林(県民の森など)において、区画を企業・学校等に貸与し、植樹から下刈り・枝打ち等、森林の育成を含めた緑化活動ができる支援施策の推進をはかること。

<要請の根拠>

第一約束期間(2008〜2012年)の開始に際して、温室効果ガス排出量を1990年比で6%削減に向けた諸施策の確実な推進と着実な実効を挙げるためには、第一約束期間の5カ年計画を策定し、年度毎に削減を具現化する必要がある。

また、2013年以降も安定的に継続できる施策の推進が必要であり、そのためには、企業や諸施設・学校等でエネルギー消費量および二酸化炭素排出量をゼロにすることはできないため、省エネに止まらず県内の山林資源を活かした自ら二酸化炭素の削減可能な緑化の推進が求められている。

 

2.安全・安心な食材の確保に向けて、食品偽装等の未然防止と早期指導・早期解決を図るべく食品に関する総合消費生活支援を行う横断的な組織を確立すること。

<要請の根拠>

国会では「消費者行政推進基本計画〜消費者・生活者の視点に立つ行政への転換〜」が閣議決定された。この中で「国民目線の消費者行政の強化充実は、地方自治そのものである。消費者の声に真摯に耳を傾け、それに丁寧に対応していくことは、地方分権の下で、地方自治が地域住民に接する姿勢そのものであり、国民目線の消費者行政の推進は、『官』主導の社会から『国民が主役の社会』へと転換していくことでもある」と記されている。

食品偽装問題が後を絶たず、県民は食品に対する不安感が増大している。特に食品に関わる消費者庁(仮称)の機能を持った部局の設置が求められている。例えば、現在の食品安全局に今年度新設された県民生活部の機能を付加し、消費者と行政が双方向の情報を共有した総合的な食品安全施策の推進が必要である。

 

3.フード・マイレージの少ない農畜産物の消費拡大で、地産地消および自給自足の促進と環境負荷の低減をはかること。

<要請の根拠>

食糧自給率の低下だけではなく、家畜の飼料や農作物の肥料も輸入依存しており、食糧全体で生産と消費の関係を改善する必要がある。

また、供給熱量と消費熱量の差も拡大し、廃棄される食品は輸入等の輸送時と焼却処理時に重複した二酸化炭素の排出となっている。環境負荷を増大させているため、省食の推進も課題提起されている。

例えば、県内産の農畜産物で飼料・肥料も県内産を使用している場合を最高格付けにするなど、消費者へ表示等でPRする。

このように農畜産物を無駄なく、地域での循環を拡大していく取り組みが必要である。

 


X.教育政策

 

1.子どもが自発的、自主的に読書活動を行うことができるよう、学校図書館の図書資料や設備の充実をはかること。あわせて、専任の学校図書館司書を採用し、学校図書館の運営に関する人材の充実をはかること。

<要請の根拠>

本年4月21日文部科学省は、「学校図書館の現状に関する調査」ならびに「学校図書館図書関係予算措置状況調べ」の結果を公表し、学校図書館に使われる予算が少ない、十分な図書が備えられていない等の内容を報告した。公立義務教育諸学校の学校図書館に整備すべき蔵書の標準として「学校図書館図書標準」が定められているが、「学校図書館の現状に関する調査」によると、平成18年度末現在で、この標準を達成している小学校は、全国42.0%に対し埼玉県は33.5%、中学校では全国37.2%に対し埼玉県は28.8%と大きく全国平均を下回っている。学校図書の購入費は、地方交付税として各自治体に配分されており、交付税は使途が限定されていないため、財政難の自治体は他の事業に図書購入予算を廻してしまうケースも多い。無論、立派な図書をそろえたからといって、子どもが実際に手に取らなければ何にもならず、標準どおりの冊数があるからといって、古い本ばかりでは、手に取る気にはなりにくい。

「子どもの読書活動の推進に関する法律」第2条(基本理念)では、「子どもの読書活動は、子どもが、言葉を学び、感性を磨き、表現力を高め、創造力を豊かなものにし、人生をより深く生きる力を身に付けていく上で欠くことのできないものであることにかんがみ、すべての子どもがあらゆる機会とあらゆる場所において自主的に読書活動を行うことができるよう、積極的にそのための環境の整備が推進されなければならない。」としている。

子どもの学習環境に大きな地域間格差を生まないためにも、学校図書館の環境面ならびに人材面の充実が必要である。

 

2.子どもの学ぶ意欲を引き出すとともに、きめ細やかな指導を行うために、少人数学級、少人数授業、ティーム・ティーチング等の導入を進めること。

また、推進にあたっては、教員数を増やすなどの体制強化をはかり、教員への負担軽減をはかること。

<要請の根拠>

  すべての子どもに基礎学力を身につけさせることを重視し、ともに学ぶ視点を大切にしながら「つまづき」を克服し、子どもの理解度に合わせた授業を進めるためには、少人数学級、少人数授業、ティーム・ティーチング等の導入は不可欠である。少人数学級のように、学級の規模を小さくすることによって、子どもたちを掌握しやすく、子どもの実態に即した柔軟な指導が可能になり、先生と子どもたちのふれあいが一層密になるという利点がある。しかし、少人数というだけで学習面の効果があるとは限らず、40人学級と同じような一斉授業をするのではなく、習熟度別授業など指導方法の工夫も必要である。

例えば、小学校のスタート時期に、基本的な生活習慣や学習規律をしっかりと身に付けることができるかどうかは、その後の学力向上に大きく影響する。そのため、まだ幼さが残り、先生との関わりを強く求めるこの時期に、学級の中に2人の先生を配置して、子ども一人一人にきめ細かく指導する。また、少人数授業は、子どもたちの状況に応じてきめ細かく授業を行うことができるとともに、少人数学級のデメリットである生活集団の少人数化を、学級とは異なる少人数の学習集団の編成により補うことができる。さらに、ティーム・ティーチングでは、特定の教科で、学級の子どもたちの状況に応じて、例えば、主に授業を進める先生と児童生徒に個別に対応する先生が役割分担をして、子どもたちの個別の課題に応じた、きめ細かく行き届いた指導を行うことができるとされていることから導入が求められている。

 


Y.人権・男女平等政策

 

1.核兵器廃絶ならびに恒久平和実現に向け、平和市長会議に加盟すること。

<要請の根拠>

1945年8月、広島・長崎の両市は原子爆弾の投下により、一瞬にして廃墟と化し、数多くの尊い命が奪われた。このような原子爆弾による悲劇が二度と地球上で繰り返されることのないよう、両市は一貫して世界に核兵器の非人道性を訴え、核兵器のない平和な世界の実現を願う市民意識の喚起を目的に、昭和57年(1982年)から「平和市長会議」を主宰している。同会議には、現在、世界約130か国・地域の2,000を超える都市が加盟しており、世界各地で様々な平和推進活動を展開している。また、平和市長会議では、これまでの海外諸都市に加え、日本の都市も含めた世界の多くの都市が一体となり、人類の意志として核兵器廃絶を国際社会に訴えるとともに、こうした都市の力を結集して国際政治を動かしていくことが必要と考え、本年3月には、国内の各自治体首長宛に平和市長会議への加盟について依頼したところであり、6月末現在、国内143の都市、埼玉県においては、所沢市・羽生市・蕨市が加盟している。

「平和市長会議」は、都市連帯推進計画に賛同するすべての都市相互の緊密な連帯を通じて、核兵器廃絶の市民意識を国際的な規模で喚起するとともに、人類の共存を脅かす飢餓・貧困等の諸問題の解消さらには難民問題、人権問題の解決および環境保護のために努力し、もって世界恒久平和の実現に寄与することを目的としている。

世界の都市と共に核兵器のない平和な世界を創造するため、「平和市長会議」への加盟は必要と考える。

 

2.次世代育成支援対策推進法にもとづく地域行動計画の推進にあたり、「次世代育成支援対策地域協議会協議会」ならびにそれに代わる審議会の委員に、労使代表を加えること。(坂戸市、鶴ヶ島市、毛呂山町、越生町に要請)

<要請の根拠>

県内で「協議会」を設置並びにそれに代わる審議会を設置しているのは53市町村であり、委員の構成内訳をみると、企業関係者をおいている29市町村に対し、労働関係者をおいているのは7市町村、となっている。地域行動計画には住民のニーズや働く者の意見等を反映させて行くことが重要であることは言うまでもない。地域において企業の果たす役割は大きく、そこで働く労働者は地域生活・家庭生活・職業生活の3つのフィールドで日常生活を営んでおり、幅広い立場からの意見が可能であることから、「協議会」に労使の代表を加えることが必要である。

 

3.誰もが働きがいのある仕事と充実した生活の両立が選択可能となるようなワーク・ライフ・バランス社会、それを支える政策やシステム、慣行が構築されている社会を目指し、企業や働く者、県民の取り組みを積極的に支援するとともに、多様な働き方に対応した子育て支援や介護などのための社会的基盤づくりに積極的に取り組むこと。                          

<要請の根拠>

今、日本では国内外における企業間競争の激化、長期的な経済低迷や産業構造の変化により、生活の不安を抱える正社員以外の労働者が大幅に増加する一方で、正社員の労働時間も高止まりしたままである。さらに、勤労者世帯の過半数が共働き世帯になる等、女性の社会参加が進み人々の生き方が多様化している。しかしながら、働き方や子育て支援などの社会的基盤は必ずしも変化に対応したものとはなっていない。また、職場や家庭、地域では依然として男女の固定的な役割分担意識が残っている。このような社会では結婚や子育てに関する人々の希望が実現しにくく、「家族団らんの時間」や「地域で過ごす時間」を持つことが難しくなってきている。

2007年12月18日、政府・労働組合・経済団体・自治体の代表は、「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」と「仕事と生活の調和推進のための行動指針」に合意した。

憲章で定める「就労による経済的自立が可能な社会」、「健康で豊かな生活のための時間が確保できる社会」、「多様な働き方・生き方が選択できる社会」の3つの社会の実現に向け、県・市町村は多様な働き方に対応した子育て支援や介護などのための社会的基盤づくりに有効な施策を講じ積極的に取り組む必要がある。

 

4.配偶者やパートナーからの暴力防止及び被害者の保護に向けて、被害者が安心して相談できる相談窓口を増設するとともに、相談機関・相談内容について、各種メディアを活用した積極的な広報活動を行うこと。

<要請の根拠>

配偶者やパートナーからの暴力(DV)は、重大な人権侵害であり、特に被害者となりやすい女性の尊厳を著しく傷つけるものであるとともに、男女共同参画社会を実現する上で克服すべき重要な課題である。

国においては、DVを根絶するため、必要な法整備や相談・保護・自立支援に積極的に取り組むこととし、平成19年7月には「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」が改正され、平成20年1月に施行された。改正により市町村における配偶者暴力センターの設置が努力義務となった。内閣府の調査によると、平成19年度に全国の「配偶者暴力相談支援センター」によせられた相談件数は62,078件となっており、埼玉県は2,683件と全国の4%を占め、東京、千葉、神奈川、大阪、福岡に次ぐ多さとなっている。

内閣府男女共同参画局が、平成17年11月から12月に実施した「男女間における暴力に関する調査」によると、平成16年6月に改正された「配偶者暴力防止法」についての設問で、「法律があることも、その内容も知っている」人は13.3%、「法律があることは知っているが、内容は良く知らない」人は66.2%、「法律があることも、その内容も知らなかった」という人は19.3%である。このことから、「配偶者暴力防止法」の認知度は極めて低いことが分かる。また、配偶者からの暴力について相談できる窓口を「知っている」という人は29.8%で、「知らない」人は68.7%と多数を占めている。さらに、相談先では、一番相談の多かった機関は「警察」と「医療関係」となっており、「配偶者暴力相談支援センター」、「男女共同参画センターや女性センター」等への相談は少なく、認知度が低いことが浮き彫りとなっている。一方で、誰にも相談しなかったと回答した人の理由として、「恥ずかしくて誰にも言えなかった」「そのことについて思い出したくなかった」「自分さえ我慢すればいいと思った」などの深刻な状況がある。

配偶者やパートナーからの暴力について安心して相談できる相談機関・相談内容を積極的にPRすることが必要である。

 

以 上