○○市 市長

 ○○ 殿

200年11月  

 

日本労働組合総連合会埼玉県連合会

西部第三地域協議会

議長 越川 求

 

社団法人 埼玉県労働者福祉協議会

 西部第三地域労福協

会長 越川 求

 

 

貴職におかれましては、○○市民のため、日夜のご健闘をされていることに対し、深く敬意を表します。

また、日頃より、私ども日本労働組合総連合会埼玉県連合会(略称:連合埼玉)並びに、連合埼玉西部第三地域協議会(坂戸市・鶴ヶ島市・毛呂山町・越生町の2市2町地域 略称:西部第三地協)、また、社団法人埼玉県労働者福祉協議会(略称:埼玉労福協)並びに、埼玉労福協西部第三地域労福協(略称:西部第三労福協)に対し、深いご理解とご協力をいただいておりますことを、心から御礼申し上げます。

さて、私たち連合埼玉は「ゆとり・豊かさ・公正な社会」の実現を目指す取り組みとして、市政への政策・制度改善要請項目を以下のようにまとめました。これは、経済優先社会から脱皮し、生活者重視への社会的転換をはかり、まじめに働くものがむくわれる公正な社会の実現と、安心して暮らせる地域社会の確立に向けた要請であります。

以下の項目をご参照いただき、今後の市政および平成19年度の予算編成に充分に反映されますよう要請いたします。

なお、本要請に対するご見解を平成19年2月末日までに、文書にてご回答いただきたく、お願い申し上げます。


T.総合経済・産業政策

1.まちづくり三法の見直し・改正を踏まえた、新たな「中心市街地活性化」・「商店街活性化」に取り組むこと。

(1)まちづくり三法の見直し・改正を踏まえた、「中心市街地活性化基本計画」を早期に策定すること。

(2)「中心市街地活性化協議会」の設置が法制化されたが、基本計画作成や、まちづくり全体に関わる活動への意見反映など、住民やNPO法人、労働組合、企業など、多様な民間主体が参画する市民参加のまちづくりの仕組みを確立すること。

 

<要請の根拠>

中心市街地の空洞化、商店街の空き店舗問題など、その原因として大型店や住宅、学校、病院、福祉施設などの郊外への進出が指摘されている。

大型店の郊外出店は雇用の拡大をもたらしているが、一方で中心市街地から客足が遠のき、閑散とした商店街が増加していることから、その対応策が求められている。

先の国会(第164通常国会)において、中心市街地の空洞化に歯止めをかけ、活性化を促すための“まちづくり三法”(大規模小売店舗立地法、都市計画法、中心市街地活性化法)の見直し・改正が行われた。今回の改定は、日常生活に必要な都市の諸機能が集約されたコンパクトシティ(注)を構築することで、市街地に賑わいを取り戻すことが狙いとされている。

具体的には、市町村が策定する「中心市街地活性化基本計画」について、国による認定制度が創設され、認定された基本計画による事業への支援措置が講じられる制度である。

今回の法改正を踏まえて、改めて「商店街活性化・空き店舗解消」に向けた積極的な取り組みが求められる。

(注)コンパクトシティ:商店街・学校・病院・住宅・公共施設などの日常生活に必要な諸機能が集約されたまちづくり。

 

2.公正労働基準と労働関係法の遵守を基準とした「公契約制度」確立に向けて、以下の施策を講ずること。

(1)公共サービスの質の向上に資する入札制度とするために、安さを追求する競争入札を改め、総合評価による公契約制度を確立すること。

(2)事業者の入札参加にあたっては、公正労働基準と労働関係法の遵守を公契約の基準とすること。

特に、労働基準法違反企業や不当労働行為企業は契約の対象外とすること。

(3)業務委託などにかかわる契約については、透明・公正を確保し、安易な随意契約が横行しないよう競争入札の原則を徹底すること。

委託業務の入札・落札にも公正労働基準に基づき適用すること。

 

<要請の根拠>

現在の入札制度は、価格重視(低価格競争)の入札制度になっているが、埼玉県の、とりわけ業務委託にかかわる入札においても例外ではない。

その結果、いわゆる不当廉売(ダンピング)を許容することとなり、地域公共サービスの質の確保と公正労働基準(労働者保護)の保障が懸念されるような低価格で落札されるケースも出てくる。

1992年2月に自治省(現総務省)は地方自治法施行令改正を行い、これにより地方自治体は価格だけでなく、その他の要素を総合的に判断して落札者を決定する「総合評価落札方式」が可能となった。

各市町村においても「総合評価方式」を活用し、価格だけではなく社会貢献や「公正労働基準の遵守」も加味して落札者を決定することが求められる

 

 

U.雇用労働政策

1.雇用対策の一環として市町村全てに雇用対策・就職支援窓口を設け、専門の相談員(雇用支援コーディネーター)を配置すること。

 

 <要請の根拠>

失業率が5%前後と高止まりの中、将来の社会保障システムの維持や、行政の財源確保の観点からも雇用対策が重要であるが“埼玉県地域労使就職支援機構”の調査では、各市町村の労働行政施策の位置づけは低い。一方、住民は市町村行政を一番身近な窓口と感じており、全ての相談をワンストップで解決できることを望んでいる。

また、ヤングキャリアセンター埼玉や若者自立支援センター埼玉などの就職支援相談窓口の認知度を上げるためにも、各市町村に就職支援窓口を設置しPRすることが効果的である。

住民が健全で文化的な生活をするためや、税収面での財源確保の観点からも市町村行政において雇用対策が重要である。あわせて、職安法改正に伴い無料の職業紹介事業が可能となったことからも、相談員(雇用支援コーディネーター)を配置した雇用対策・就職支援窓口を設置する必要がある。

 

 

V.福祉・社会保障政策

1.改正介護保険法の定着・発展に向けて以下の施策を講ずること。

(1)各市町村に設置される「地域包括支援センター」の運営に関して、実態を把握するとともに、適切な指導を行うこと。また、「地域包括支援センター運営協議会」の構成委員に利用者・被保険者の代表も参加させること。

(2)サービスの質の確保・向上に向け、事業者等の情報開示を行うこと。また、対象となる高齢者の地域包括支援センターの利用促進に向け積極的にPRを行うこと。

(3)地域における高齢者のスポーツや体を使ったボランティア活動などに対して、総合的な支援を行うこと。

 

<要請の根拠>

(1)地域における介護サービスの提供を行う「地域包括支援センター」は、各市町村の直営または委託での設置もあることから、サービスに地域間格差が生じないよう、対策を講じることが必要である。「地域包括支援センター」の実態を把握することにより、優良なセンターがあれば、その事例を各市町村の「地域包括支援センター」に情報提供し、水平展開を図るなどの対策が有効である。

(2)利用者が事業者を選択するには、材料となるデーター等が不足している現状から、早急に事業者の情報公開が必要である。また、介護保険法の改正内容が市民・町民・村民に十分浸透していないことから、各市町村に設置された「地域包括支援センター」に対象となる高齢者が足を運ばないなど理解不足の状況にあるため。

(3)高齢者の日常的なスポーツ活動や体を使ったボランティア活動などは、予防介護の観点から十分その機能を果たすものであり、各市町村の総合的支援があれば現状よりもっと多く活動することが出来、ひいては介護に対する予防につながる。

 

 

W.環境・資源・エネルギー政策

1.水循環型社会に向けて、以下の施策を講ずること。

(1)高度下水処理をすべての処理場に導入し、河川の浄化を図ること。

(2)本来地表のもつ保水能力を自然環境に戻すため、都市部に雨水の自然浸透を条例化すること。

(3)まちづくり計画に高度下水処理水によるリサイクルを追加すること。

 

  <要請の根拠>

(1)河川から採取し使用した水は、限りなくもとの状態に近づけて河川へ放流することが本来自然な循環であり、環境保護の基本である。

平成10年5月より県が取り組んできた不老川水質環境保全対策事業は、一定の成果をあげている。一部の河川にポンプ圧送することだけではなく、県内全域の下水処理を高度処理化し、河川の水質を改善すべきである。

あわせて、農業用水の水質確保にもつながり、食の安全にもつながる。

県内の下水化率の向上とともに、流域全体の行政の対応が必要である。

(2)雨水が地下に自然浸透させることが、環境保護・水循環の基本である。都市化された地域では雨水幹線や貯留施設の整備により、地下への自然浸透が行なわれていない。

打ち水による温度降下策が全国各地で催されているが、本来地表の保水が気化熱で自然循環していた。県はヒートアイランド対策の一環として、舗装の新素材などの研究を開始したが、これとあわせて、これからの街づくりには雨水の地下浸透で自然な循環が確保できるような条例化が必要である。

(3)さいたま新都心では、下水処理水をトイレ用水に再利用している。県南の都市部を中心に、処理水循環事業に取り組める環境にやさしいまちづくりを推進すべきである。

 

2.産業系などに中水(雑用水・下水高度浄水処理水)利用を積極的に推進すること。

 

  <要請の根拠>

現在の工業用水道事業をより拡大するとともに、下水高度浄水処理の導入により上水との差別化を推進することで、上水使用量の節減を図り、よって上水の水質向上と安定供給に寄与する。

県南・東部7市に限らず全県的に使用できる環境の整備を行なうべきであり、特に県内の工業団地には供給すべきである。

また、下水の高度浄水処理(オゾン処理)を図り、道路散水・清掃や各種建設に使用するセメント・コンクリートなどに使用を推進し、水循環社会を確立すべきである。

あわせて下水の高度浄水処理水の利用企業などについては、環境優良企業等に位置付け、使用料金などの優遇制度を検討すべきである。

 

3.大規模災害時を想定し、以下の施策を講ずること。

(1)水道施設の耐震性強化と給・配水拠点のネットワークを図ること。

(2)指定避難所の応急給水体制を整備すること。

 

  <要請の根拠>

(1)大規模災害時、直接生命に関わる上水の確保は重要な課題である。取水場・浄水場・配水場・配水池などの重要基点の耐震強度は震度5とされているが、阪神淡路大震災の震度7を想定した耐震化が求められている。

また、供給ラインが分断した場合のバイパスラインなどの整備とあわせて、被災時の県および近隣市町村の水道局との応急ネットワークの構築が求められている。

(2)学校など避難場所に指定されている公共施設には、被災時を想定した容量の循環型貯水層を設置すべきである。

 

 

X.食品・農林水産行政

. 市内(町内)の公立学校における学校給食において、安全性が確認されるまではアメリカ産牛肉(それを原材料とした加工食品も含む)を食材として使用することを制限すること。

 

<要請の根拠>

アメリカ産牛肉の輸入再開が7月に決定されました。しかし、輸入停止に原因になっていた検査体制や特定危険部位の除去、飼料規制、生産・流通履歴が不明確等の問題については先送りされただけの状態です。そのうえ、ジョハンズ農務長官は検査頭数を大幅に削減する方針まで示しました。

すでにスーパーや小売店、外食産業などでの流通は再開されているが、それは原産国表示による消費者個の選択ができる環境にあることから成り立っているものであり、児童および保護者に選択の余地がない学校給食においては使用を慎重に行うべきである。

 

 

Y.その他要請

1.水道料金の収納取扱金融機関に労働金庫を加えるよう要請いたします。【坂戸市・鶴ヶ島市】

 

<要請の根拠>

現在、坂戸鶴ヶ島水道企業団の収納取扱金融機関には労働金庫が入っておりません。ご存じのように、労働金庫は働くものの金融機関であり、坂戸市および鶴ヶ島市には労働金庫の本支店等はございませんが、その代わりとして、市内の企業・事業所に対し中央労働金庫東松山支店(一部は川越支店)から定期的な訪問巡回による出納業務を行っております。(もちろん、県内各市町村、また、都内の企業・事業所に於いても、最寄りの労働金庫支店が対応しています)従って、労働金庫を取扱金融機関に指定していただければ、一般の金融機関の取扱時間中は勤務中である多くの勤労者は、自らの職場で水道料金の納入が可能になり、大変便利になる事は確実です。実際に、夫婦共働き、また一人住まいをされている坂戸・鶴ヶ島両市民の方からは、「早く労金が使えるようにして欲しい」のと声を多く聞いております。つきましては、坂戸市・鶴ヶ島市における水道料金の現金収納および口座振替に労働金庫を加えるよう要請たします。

なお、本内容は、坂戸市・鶴ヶ島市両自治体に要請させていただいております。ぜひとも、両自治体の連携にて要請内容のご検討を頂きたくお願い申し上げます。

 

 

以 上